TOTO×マガジンハウス 環境と建築:Vol.4 難波和彦さんの「箱の家」 高性能、サスティナブルな家。


検証を積み重ね、より高性能に進化を果たす。

150戸近い経験を積み重ね、また竣工後に検証を繰り返すことで、
難波さんの箱の家は、少しずつ進化をしてきました。
過去には竣工後に真空ポンプを持ち込んで、室内の空気を抜いて気密性を検証したり、
建主に依頼して室内のあちこちに熱センサーを設置して、
生活による温度変化のデータを採ったことも。

「気密性の検証では、思わぬところ、例えば配線のために壁に開けた穴だったり、
玄関のドアの郵便受けなどの“隙間”が見付かりました。
また室内温度の計測では、
夏場に床と天井部とでは4度ほど天井の方が暑くなると分かり、
天井扇を取り付けるようにしました」

室内にいかに効率よく、風を取り込むかも検証。
結果、風は建物に当たると窓からあまり入ることなく、
上昇して屋根伝いに逃げると分かり、
屋根から風を吸い出すために鳩小屋と呼ばれる
一段屋根を高くした風取り窓を設置したりと、箱の家は変容を続けています。

「また住宅でもっともエネルギーを使うのは、給湯です。
そうしたキッチンや洗面、お風呂といった設備の性能は、
我々建築家では手が出せないから、メーカーさんに頑張ってもらうしかない。
TOTOさんに期待しています」

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2階部分を含め、室内は仕切りのない巨大な1室空間。
Photo:Hiroshi Ueda

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大きな開口部に面するスペースは、吹き抜けになっている。
Photo:Hiroshi Ueda

デザインが育む、サスティナブルな住宅。

住まいづくりを、エンジニアリングの見地から設計する稀有な存在。
難波さんの箱の家は、シンプルで瀟洒な外観や内観を有し、
デザインにおいても、優れています。何故なら

「長く持続して住み続けられるサスティナブルな住宅を考察すると、
そこには家族や社会とのコミュニティや建物に対する愛着、
残っていくための文化的価値などが必要」

だと考えているから。
一室空間は家族の、街に対して大きく開いた窓は社会とのコミュニティを創出し、
瀟洒な外観や内装は愛着や文化的価値を育みます。

「サスティナブルであったり、地球環境に優しい住まいづくりには、
住み手の意識が大切です。
設計していく中で、環境性能に対する方法や機器について、
我々の意図を建主にしっかり伝え、
話し合う中で理解や意識をしてもらう必要もあるでしょう」

建主と一緒に考える住環境は、住まいに対する愛着を一層育むはず。
冬の日中、陽光を取り込み蓄熱する大きな窓は、
日が沈んでからは遮熱カーテンを閉めなければ、
室内の熱が外に逃げてしまうといった、住まい方、使い方の理解もより得られ、
一層、住環境を快適に、またエコにすることにもつながります。

「今後は、よりコンパクトな箱の家や、
箱の家が連結した集合住宅も提案していきたい」

進化する箱の家が、快適な住まいづくりの選択肢を広げます。

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2階が住居であるオフィスで難波和彦さんにお話を聞きました。 Photo:Kanako Nakamura

 

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