TOTO×マガジンハウス 環境と建築:Vol.3 隈研吾さんの21世紀の建築。住み手と環境に寄り添う


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たっぷりの窓からの採光で明るいリビングルーム。冬は暖かく、夏は風がよく通る。Photo:Akinobu Kawabe

住宅で環境を考えることの意味。

壁面緑化や屋上緑化を行い、
屋上に設置したソーラーパネルで日常の電力の大部分を賄う。
設備面でも充分な環境配慮が行き届いていながら、
抜けのいい大らかな雰囲気が損なわれていない点も魅力です。

「住み手とは、“その空間にいる生物”のことだともう一度捉え直してみると、
リビングがあって、ダイニングがあって……と機能が分節化された
これまでの住宅のつくり方には疑問が湧いてきます。
犬や猫を見ていれば分かるように、
場所の機能に合わせて行為は分節化されていなくて、
もっとだらだらとつながっているものです。
生物は身体感覚に素直に動くものなので、
その身体感覚に訴えるような住宅が理想ですね。
身体が心地いいということが、住宅で何より優先されるべきこと。
機能は、あくまでその“心地よさ”という全体性をサポートするものとして
配されるべきものだと思っているんです」

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Photo:Kanako Nakamura

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間取りの中心に位置する大きなバスルーム。
Photo:Akinobu Kawabe


水まわりが住宅で占める位置。

生物的な身体感覚に訴える住空間において、
バスルーム、トイレといったスペースが果たす役割は、
これまで考えられていたよりずっと大きいものだと隈さんは続けます。

「20世紀的な住宅感においては、リビング・ダイニングが中心にあり、
バス・トイレは、どちらかというと裏側にまわるものでした。
でも、生物のための空間だと考えると、命と直接的に関係する“水”と
身体の接点でもある水回りの役目はとても大切になってきます。
今回の住宅でバスルーム、トイレともに中庭に面した、
光も風も入る空間となっているのには、そういう気持ちも込められています。
これからの住宅はバスルームやトイレこそ、
きちんと設計していかないといけないんじゃないかと思うんですよね」

大胆に壁面緑化を取り入れて街の景色にまでも緑を添え、
住居部分では、屋上に設置したソーラーパネルで、昼間の電力の大部分を賄う。
さらにバスルームにはお湯の冷めない魔法びん浴槽や、
節水型のトイレを採用するなど、最先端の技術を取り入れた隈さんの作品。
それらは技術一辺倒で選ばれたのではなく、周囲の環境の長所を最大限に引き出し、
足りない部分をどのように補っていくかという観点で取り入れられたものです。

隈さんが建築を考えるとき、そこには必ず人間の身体がある。
そうすると「頭でっかちに“環境”にとらわれなくても」、自然と
環境と共存する建築ができあがっていくと隈さんは考えている……。
そんなことが伝わってくる住まいでした。

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写真上:魔法びん浴槽のジャクージとエアインシャワーで節水・節電を心がけたバスルーム。Photo:Akinobu Kawabe
写真左下:屋上にはグリーンとソーラーパネルを設置。気候のいい季節の昼間はソーラ―発電で生活電力をまかなえる。Photo:Akinobu Kawabe
写真右下:4.8ℓの超節水型便器ネオレストを採用したトイレ。Photo:Akinobu Kawabe


 

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