TOTO×マガジンハウス 環境と建築:Vol.1 原研哉さんに聞く 環境とデザインの未来。


家づくりのための「情報の交差点」を目指す

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住宅のエコを考える上でも、多様なメーカーとのコラボレーションは欠かせません。
何故なら住宅のエコとは、
省エネや節水、各種建材のリサイクル性・断熱性といった“機能・性能”であり、
家のあらゆる要素がエコに関与するから。
建築家の力量だけでは、本当に環境に優しい家づくりは実現できないのです。

「先日、アメリカのZGFという会社の本社ビルを見学に行ったのですが、
実に環境に優しい建築になっていました。
ZGFは十数人のパートナーによって運営される会社で、
パートナーの半数以上が建築家。
彼らは、それぞれ経験した事例、情報を蓄積・共有して、建築に臨んでいます。
だから“南側の窓に使うなら、こんな性能のガラスがあるぞ”とか、
“屋根の断熱材には今はこのメーカーのこの製品が一番”といった具合に、
最良の選択が出来たり、アイデアにおいても最善策を選ぶことができ、
結果、極めて環境負荷の少ない建築が実現できたのです。
一方で、日本の建築家は、個人でやっているアトリエが圧倒的に多くて、
情報量やアイデアにおいて、どうしても限界が生じてしまいます。
だからこそ、より良い家づくり、環境に優しい住宅の創造には
多様なメーカーとのコラボレーションは欠かせませんし、
何らかの方法で情報を一本化する手段を講じなければいけません」

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ZGF建築事務所が設計したトウェルブウェスト(LEEDプラチナ認証) Photo by Timothy Hursley

家づくりのための情報集約を、今後担っていくのがHOUSE VISIONの大きな目的です。
曰く“家づくりのための思索や情報の交差点”。

「具体事例を展示するエキシビションと、
インターネットを使ったSNSの2本立てのような形態が現実的だと考えています。
SNSや展覧会に集うのは、家を建てたいあるいはリノベーションしたい人、
今している人、すでにした人、建築家やデザイナー、
ハウスメーカー、住宅機器メーカー、家電メーカーなどなど、
家づくりに関するありとあらゆる人と企業です。
展覧会はありそうでなかった家の具体例を、リアルに見せていきたいし、
SNSでは施主の不安を取り除いて、
家づくりに積極的に向き合う姿勢を応援していきたい。
建築家やメーカーは過去の事例やアイデアをどんどん掲載してもらう。
例えば“こんな床材を探している”と書き込むと、
メーカーから提案が書き込まれ、
さらにはそれを実際に使っている人から使用感などの体験的な情報が寄せられる。
HOUSE VISIONを見れば、家づくりのあらゆる情報が得られるようにしていきたい」

情報の集積は、前述のZGFの事例のように、
環境に優しい家づくりを、より現実的にしてくれます。
思いもよらなかった企業同士のコラボレーションが、
そこから生まれるかもしれません。
単に施主と建築家だけではなく、あらゆる企業が関与することで、
日本の家は世界に誇れる生活品質と真のエコへと成長していけるはずだと、
HOUSE VISIONは示唆しています。

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ハウスビジョンの空想展示会の見取り図

 

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