昭和13年から続くものづくり
自然に囲まれた環境と
豊かな清流がつくりだす“酢”
お多福醸造株式会社 佐々木 孝雄さんに
お話をお聞きしました。

限りある水資源を大切にする気遣いと工夫

水との関わりというのは

水との関わりは大きいですね。酢の95%は、水でできています。
広島の水は軟水が多いんですが、ここは水質の良い土地で。

水が良い場所を探してこちらに工場を?

そうですね。
このあたりは、近くに分水嶺(ぶんすいれい)があります。
分水嶺というのは、山の高いところから地下水として流れてくる水が山脈の嶺を境に日本海側に流れる水と瀬戸内海側に流れる水に分かれるんですが、この分かれ目の部分のことを言います。

分水嶺が近いとなぜ良いんでしょう

地下にしみこんだ水は、流れていく間にその土地の地層のミネラルを吸収していきます。
ミネラル成分が高まるんですね。分水嶺が近いと、要するに雨水が地下に入ってから出てくるまでの距離が短い。それは、酢をつくるのに好ましくない成分が混じりにくいということなんです。

ミネラルが多いと良さそうに思いますが・・

ミネラルといってもカルシウム、マンガン、鉄分、マグネシウム、といろいろあります。
たとえば、錆びた水道の水を想像してみてください。鉄分を多く含みすぎる水はあまり美味しくはないですね。
酢をつくるのに合う水、合わない水というのがあるんです。

なるほど。敷地内に湧水があるんでしょうか

はい。水が湧きます。このあたりは水を引いてこなくても田んぼができるような土地です。
ただ、いくら水が湧いてくるといっても、工業ベースでくみ上げることを考えると足りません。
分水嶺の近くは異なる水質の水が集まる場所なので、同じ敷地内でも掘る場所によって水が違うんですよ。

工業的には水質だけでなく水量も大事なんですね

ここの地下水は地域の田んぼや生活用水にも使われます。水を使う会社が来るということで、開設当時は近隣の方も不安を感じられていたようです。
また、地下水を利用しているということは、下水も無い。工場排水が間違って川に流れてしまうと大変なことになります。そういう意味でも排水処理を含め、環境配慮には力を入れてきました。

排水処理施設がありますね。
他にはどんな配慮をされているんでしょう

水は有限ですから、くみ上げすぎると枯れてしまう。枯れないようにするために、なるべく使う水を減らすようにしています。

でも、お酢をつくるには水が必要なのでは?

使い分けをします。
酢の原材料としての水はくみ上げた地下水を使います。
その他に洗い水や床を流す水、酢酸発酵の時に出る熱を冷ますための水などが必要です。山の上の方から流れてくる山水を集めてろ過して殺菌して、製品以外の部分で使う水に充てるといった工夫をしています。
また、なるべく水を再利用するようにしています。

水にはすごく気を遣われている

そうですね。
まだ河川になっていない小川は放っておくとなくなるんですよ。
ちょろちょろと水が沸きだしている場所があっても、そのままにしておくと葉っぱや泥で埋もれてしまいます。
そうして地下にしみこんでしまうと、見つけることができなくなってしまう。だから、養生をして維持するんです。

養生というのは、そういった業者さんに依頼をされて?

整えるという意味で土木工事は業者に頼みますが、維持するための養生は自分たちでやっています。

水を維持するために努力をされているんですね

水を使う企業ですからね。どうにか、水を維持し、地域資源としても大切にしていきたいですね。

エコカフェ企画による、暮らしの達人インタビュー。人と暮らしの間にある様々なモノ・コト。多種多様なジャンルで活躍されている方に、環境のこと、暮らしのこと、生活を豊かにする秘訣、などなど、様々な角度からお話をお聞きするコンテンツです。

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