第2話 考えさせるのではなく、
自然と大事にされるものをつくる
アッシュコンセプト株式会社 名児耶秀美さんに
お話をお聞きしました。

エコってもう当たり前に考えなきゃいけない

環境に関してはいかがですか。

環境って、改めて考えることじゃない。デザイン過程において当たり前に通る道だと思います。作り手としては、モノをつくるときにゴミになるようなものなんて当然つくりたくない。もちろん、使って・使って・使い込んでもらって最後に捨てられる、なら本望ですが。だからこそ、使う人のことを考えないモノづくりは、工場でゴミを大量生産しているのと同じだと思うんです。

あと、環境配慮ってとかく押し付けがましい感じがして、「そんなことお前に言われたくねぇ」とか思ったりしませんか?だから、僕は押し付けがましさは極力排除して、良いデザインと同じように、身体が自然にリユースしたり商品を大切にしたりするような、それが結果、環境面でも良い状態になるような製品を作るのが、いま求められているデザイナーのスキルなんだと思っています。

だから、常にデザインするときに環境についての配慮が当たり前に含まれているのがベスト。でも、もちろんそれだけじゃなくて「使ってもらうときの楽しみ」も一緒にないとダメなんです。

胴のながいダックスフントの形をした
耳栓にもなるイヤーアクセサリー“ミミペット”

+dの商品は「使うときの楽しみ」が大きい商品が多数あります。
私は10年前ほどに出された「カップメン」なんかも大好きです。

デザイナーの馬渕さんは 面白い人で、効率性を求められる本職の息抜きというか、クリエイティビティの発露の結果として、仕事の傍らいろいろデザインしていたものを見せてくれたんです。その中で一番くだらなかったのが「お湯を注いだカップ麺のフタを押さえる」カップメン(笑)。今ではカップ麺にフタ止め用のシールが付いていますが、当時はなくて、お皿で押さえたり割り箸で挟んだりしていました。そこを代わりに押さえてくれる。

“カップメン”
(写真提供:アッシュコンセプト)

発売した頃はちょうどリーマンショックで、みんなが不景気な時期だった。人って不景気になるとマジメなことしかやらなくなって冒険しなくなるんです。そこが逆にチャンスだと感じて、僕たちはクダラナイのやろうよって言ってたので、持ち込まれたカップメンが気に入っちゃった。

いろんな雑誌やメディアに取り上げれていましたよね?

みんながまじめな時代に、「あ、こんなものが」という驚きがあったんでしょうね。割と話題になってくれて、いろんなところで取り上げていただきました。

使い捨てのシールと違って、カップメンだと3分間の待ち時間もなんとなく楽しくて、かつ、何度も使いたくなるような商品ですよね。

そう。いいデザインは命令しないんですよね。

何度も使うといえば、ボトルキャップなんかもそうですね。リサイクル界でのメジャーといえばペットボトルですが、ペットボトルのリサイクルって実はすごくエネルギーを費やすそうで、「本当に環境にいいの?」っていう話もあるらしいんです。その話を聞いてきたデザイナーが「でも、リユースなら誰でもできる」というのを伝えたいと。例えば、一回で捨てちゃうモノをもう一度使うだけで立派なリユースですよね。

このペットボトルキャップ、すごく可愛いですよね。

そう、可愛いんですよね。単なるペットボトルのフタなんですが、自分のキャップがついてるだけでペットボトル自体に愛着がわく。ホットヨガのクラスなんかで水分補給しますよね。その時にもどれが自分のペットボトルかすぐに分かります。

“ハート”
(写真提供:アッシュコンセプト)

あと、おじいちゃんでも子どもでも開けやすいんですよ。高齢になると普通のペットボトルが固くて回せないという方、結構いるんですがこのキャップだと大丈夫。

これだと、気楽にリユースできるし、かっこ悪くない。デザイナーによくよく聞いたら、おばあちゃんが昔、麦茶を沸かしてペットボトルに入れてくれたとか。実体験が元になってた。

さりげない感じがいい。このサイトもエコのことをさりげなく、知りたいと思った時にちゃんと知れる。そんなサイトにしたいんです。

肩肘張って「エコだ!エイエイオー!」みたいな感じになるとダメですよね。長続きしなくなっちゃう。エコって声高に叫ぶんじゃなくて、当たり前に考えなきゃいけないことだし。問題があったからエコを考える、なんていうのは違う。

エコもそうですが、生活者の使い勝手もよく考えられていますよね。
「ウキハシ」などは、かゆいところに手がとどくような商品ですよね。

ありがとうございます。ただ、これ弱点がありまして。

え?弱点?

片方がひっくり返っちゃうと、すごく使いづらいんです(笑)。

だから、当初持ち込まれた時に「僕は使いづらい箸なんか作りたくない」って断ったら、「それは違いますよ」ってデザイナーに言われたんです。小さい頃にお箸を綺麗に揃えて使いなさいとか、日本人くらいしか言われない。「所作」という言葉が表していますよね。このウキハシは、揃えて置くと先端が浮いて箸置きが要らないし、揃えて使うと決して使いづらくない。だから、「現代人が忘れつつある日本古来の所作を身につけるにも良い箸なんです」ってプレゼンされてね。

“ウキハシ”
(写真提供:アッシュコンセプト)

本当かなって疑ったんですが、実際、子どもに「揃えて使う箸なんだぞ」って言って渡したら、本当にきちんと揃えて美しく使うようになった。それで「負けた」と感じて商品化しました。

エコカフェ企画による、暮らしの達人インタビュー。人と暮らしの間にある様々なモノ・コト。多種多様なジャンルで活躍されている方に、環境のこと、暮らしのこと、生活を豊かにする秘訣、などなど、様々な角度からお話をお聞きするコンテンツです。

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