第1話 自然の恵みをぎゅっと凝縮
人にやさしいプロダクト“soil”
アッシュコンセプト株式会社 名児耶秀美さんに
お話をお聞きしました。

保湿性や吸水性に優れた呼吸する素材「珪藻土」を、
日本伝統の左官技術で最大限まで生かしながら、
ありそうでなかった暮らしの必需品を生み出すsoil(ソイル)。

そのsoilを手がけたのが、オリジナルブランド「+d」を展開する
アッシュコンセプトの名児耶秀美さんです。

生活者とデザイナーがともに楽しめるものづくり、をテーマにした
デザイナーブランド「+d」やsoil、
そして、これからのデザインとは何か?まで、じっくりお話を聞いてきました。

  • アッシュコンセプト

    モノを創る人と造る人を、そしてモノを使う人を、大切にしていきたい。モノづくりを通してデザインで世の中を元気にする会社「アッシュコンセプト」。オリジナルブランド「+d」からさまざまな製品を発信しています。

環境は考えるようなことではなく、当たり前のこと

名児耶さんは主にプロダクトのプロデュースをされているんですか?

うーん、一言では言い難いんです。よく「あなたは何者ですか」と聞かれますが「私はナゴヤヒデヨシです」と答えてる感じで(笑)。

もともとは、140年ほど続く「ブラシ」メーカーの次男坊です。家族経営の小さな会社で、トイレブラシなんかも作っています。TOTOトイレの新作が出るたびに購入して、汚れ落としブラシの研究をしていた時期もありました。

社会人になってしばらく経ったとき、父から「実家の事業が不調だから戻ってこい」と引っ張られ、実家に戻りました。この不調を機会に会社をデザインの力で変えてみようと思い、ちょこちょこ挑戦し始めたんです。

「マーナ」っていう会社知りませんか?魚の形のスポンジやブタの落し蓋とか出しています。そこが私の実家なんです。

魚の形のスポンジ!知ってます。
じゃぁ、名児耶さんがご実家の製品のデザインを?

魚のスポンジは僕がデザインプロデュースしてます。もともと家族経営でデザイナーなんていませんから。だけど、僕が入ってから「企画室」を作ったり、デザイナーを採用したり…。外部の方にも協力いただいていろいろなことをやりました。例えば、「ブタの落し蓋」なんかは、デザインコンペをやったんですよ。

そうこうしているうちに、デザインの力で会社が大きくなった。売上が何十倍にもなったんです。僕は更にデザイナーにフォーカスして行きたかったけれど、なかなかやらせてもらえない。父と兄と私、会社の船頭は三人も要らないですよね。だから「ここまで会社も大きくなったし僕も好きなことをやるね」と言って、今の会社(アッシュコンセプト)を2002年に作りました。

名児耶さんデザインの製品は、まず見た目の可愛さ・面白さに惹かれ、買って使っているうちに「あ、これ使いやすい!」という発見があります。
「デザイン」というとつい、見た目の「意匠」のように考えがちですが…。

もちろん「美的造形性」はとても重要な要素です。辞書で”デザイン”を引くと、名詞の「意匠」とともに「総合的な造形計画」という解釈が載っています。素材などの複合的な要素を調整しながら総合的に造形を考えるということですね。だから、いいデザインって押し付けや命令形じゃなくて、「自然とその方向に動いてしまう」アフォーダンスな形がいい。

以前「使い捨ての輪ゴムを大事にしよう」というメッセージを込め+dから「アニマルラバーバンド」という製品を出しました。カラフルな輪ゴムが動物の形になっているだけですが、可愛いと感じると自然と人は大事にします。誤飲に対応するため素材もシリコンにこだわったりしました。デザインって、そういうところ全部考えるものなんです。

アートは自己表現として、デザインは使う人のことを考えながら形を作る。両者には大きな違いがあると言われます。でも「自己主張もありながら使い勝手のことも考えてる」というのがこれからのデザインだと僕は思います。”made in JAPAN”はそこを目指すべきだと。見た目は良くても使いにくいとか、機能は良くてもカッコ良くないとかはダメ。見た目と機能が揃っているのが面白い。もうマスプロダクションのような規模を追う時代じゃない。だからこそ、そういうものが受け入れられていくはずです。

動物の形をしたアニマルラバーバンド

環境面についての配慮なんかもデザインで考えられたりするのでしょうか?

僕、環境は考えるようなことではなく当たり前のことだと思っています。使う人のことを考えないモノ作りって、よく考えると「ゴミ作り」なんです。自分たちが作る時に、ゴミになるようなものは作りたくない。なので、環境のことは、改めて考えるようなことじゃなく、当たり前に自然に「いい状態」になるように作っていくというのがモノ作りの人間の持つべきスタンスだと思っています。

エコカフェ企画による、暮らしの達人インタビュー。人と暮らしの間にある様々なモノ・コト。多種多様なジャンルで活躍されている方に、環境のこと、暮らしのこと、生活を豊かにする秘訣、などなど、様々な角度からお話をお聞きするコンテンツです。

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