人にも環境にもやさしい、
暮らしに寄り添う草木染

マイトデザインワークス 小室真以人さんに
お話をお聞きしました。

一期一会の色を楽しむ

小室さんにとっての草木染の魅力とは?

実は草木染は、一回途切れてしまった技術で大学でも教えてくれません。友禅などの伝統染物は教わりましたが、昔の技法でも染料は現代のものを使うため微妙に進化しているんです。でも、僕は昔の技法と材料で染めたかった。なので、技法や染料がない染めの場合は、江戸時代の文献を読み解きながら、一つ一つ手探りで復活させています。ただ、その土地土地で太陽から栄養をもらって育った植物を使うのが草木染。晒す水や空気でも色が変わるし一つとして同じものができない。たとえ昔の技法・染料で染めても、出てくるのは今の色なんです。そういうのが面白いですよね。

どのような方がお店に来るんですか?

大学生かもう少し上の若い方が多いです。赤ちゃんが産まれてオーガニックに興味を持ったお母さんも来られます。そういう人のためにも、僕は100%自然の草木染にこだわりたい。実は、最近のオーガニックの広がりに合わせて化学染料を加えた「なんちゃって草木染」も売られています。自然素材の染めはどうしても色が弱く少量しか染められないので、商品の安定供給のために化学染料を配合するメーカーがあるんです。でも、化学染料は天然物と比べて非常に強く、ほんの少し混ぜただけでも自然の色がほとんど残りません。もともと同じ色をたくさん・安く染めるために先人が一生懸命、開発したのが化学染料。使うならが堂々と使えばいいのに「草木染」と謳いながら化学染料でその良さを消すのには賛成できません。

環境への影響の違いはありますか?

草木染は自然のものを自然に返すので影響ありません。たまに「水をたくさん使うから環境に悪い」という人がいますが、化学染料でも大量の水を使うので染める工程では同じ。しかし、化学染料は染料の生成過程で有害物質を出すため、草木染の方が環境に優しいのではないでしょうか。自然のものでもトリカブトやウルシ科の植物などヒトにとって有害な染料もありますが、なるべく「口に入れても安全」なもので染めたいと思っています。

染料はどこから持ってくるんですか?

材料は山で採ったり日常生活から集められます。落ちている紅葉(もみじ)は公園から、タマネギの皮はパートさんが家庭料理する時にストックしてもらいます。藍は、江戸時代から質の良さで知られた徳島から取り寄せてもいますが生産量が少ないので、九州に畑を作って自家栽培もしています。

桜は上野公園や浜離宮から雪で折れた枝などもいただきます。数年前には、福島県三春町の樹齢1000年を越す三大桜の枝が台風で折れて持ち込まれました。福岡の大宰府天満宮のご神木「飛梅(トビウメ)」の剪定の際には、その枝で染めた生地を天満宮にお返しもしました。捨てられるだけの桜の枝が、生地になって生き返る感覚で、そこにしかない物語が生まれます。だから思い入れがあるし、使う人にも気持ちが生まれると思うんです。草木染をやってると、普段の散歩でも植物を見て「染めてみたい」という気づきが生まれる。そうやって、日常が豊かになればいいなと思っています。

濃さによって異なる色の名前

一口に藍染と言っても、何回染めたのかの濃さによって名前が変わります。一番薄いのは「瓶覗(かめのぞき)」、続いて新撰組が用いた「浅黄色(あさぎいろ)」。他に「縹色(はなだ色)という薄色も。濃いものは「紺色」や「茄子紺(なすこん)」と呼ばれました。藍を50回重ねて黒に近く染めたものは「褐色(かちいろ)」が転じて「勝色」となり、縁起のいい色として鎌倉時代以降の武士や軍人に愛用されました。

  • 瓶覗
  • 浅黄色
  • 縹色
  • 紺色
  • 褐色

エコカフェ企画による、暮らしの達人インタビュー。人と暮らしの間にある様々なモノ・コト。多種多様なジャンルで活躍されている方に、環境のこと、暮らしのこと、生活を豊かにする秘訣、などなど、様々な角度からお話をお聞きするコンテンツです。

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