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面出薫+LPA展


「建築照明の作法」


'99年9月25日〜11月20日

scene 1  撮影:ナカサ・アンド・パートナーズ
世界中の優良な建築に出会うとき、そこには決まって優良な光が意図されている。 建築に一歩足を踏み入れて「何だろう、この不思議な心地良さは・・・・・・」と戸惑うことがある。 明るすぎず、暗すぎず、もちろん照明器具の姿はどこにも見当たらず、目のやり場に困らないように明快な光のフォーカルポイント(焦点)が与えられている。 そんなとき、そこには気配と化した光の粒子が舞っているはずだ。 建築照明デザインとは、このような「巧妙な気配を創り出すための罠」を仕掛ける仕事である。
しかしながら現実の世界では、軽はずみな光によって傷ついた建築の、あまりの多さに落胆するばかりだ。 ほとんどの建築が光の扱いに失敗しているといって過言でない。 なぜなのだろう、つまらぬ過失を繰り返してしまうのは。 建築家の怠慢だけが原因ではない。 <作法>が守られていないためではないだろうか。
光を用いてその快適な気配の罠を仕掛けようとするとき、作法が必要となる。 作法とはしごく当たり前の理に適った視点であり、所作であり、決まりごとの一種なのである。
私たちはその建築照明の作法を自然から学び、歴史的建造物から学び、偉大な建築家の技から学んできた。 光の主題は何か/光の快さとは何か/昼と夜とをどう心得るか/照明デザインのディテールをどう磨くか・・・・・・。 それらには伝承するに十分な価値がある。
建築照明デザインのプロセスの中でもとくに、光のコンセプトを立てる作業と詳細設計を作り込む作業の両者が、等しく大切であることを力説したい。 コンセプトを見極めることや光のイメージを固めるには伝統的な方法論は不要であるが、光のイメージを詳細設計に結びつけるためには多くの失敗に基づく経験論が必要になってくる。
 撮影:ナカサ・アンド・パートナーズ
scene 2 この展覧会では、際限なく自由な光のデザインの発想力と、不自由ながら奥深い光の職人芸の双方を、包み隠さず露呈することにした。

面出薫


講演会 : 面出薫「建築照明の作法」
      10月5日 建築会館ホール
空間術講座:「光と影のクリティシズム」
      10月15日〜11月5日 全7回


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