Poster

北山恒


On the Situation


'02年2月23日〜'02年4月27日

絶対的存在というものはない、あらゆるものは関係性の存在でしかない、と思っている。あらゆる事物はその時代の求める存在理由を背景に表出し、また消滅してゆく。
建築は今の社会に存在するものだから、敷地の条件、自然環境、構造や材料の制約、法規制、予算、クライアントの要望などといった、さまざまな状況を引き受けなくてはならない。このような社会的拘束のなかで建築は企図される。だから建築とは現代の状況を映し出しているだけだともいえる。この建築の集合形式が都市となり、私たちの生活世界の枠組をつくっている。このあたりまえのように存在する枠組の中で、人は解放された自由を経験したり、行為の自由に抑圧を受けたりすることとなる。
ひとつの建築は現代という状況の海に漂う特異点である。その状況の読み取りを変えれば、建築という小さな特異点に新たな人と空間の関係性を構想することができる。そして、その特異点の連鎖によって、厳然として存在すると思われた状況の認識を動かすこともできるかもしれない。建築とは、その空間を身体的に経験できるということで、人の無意識のレベルに強く働きかけるメディアである。だからこそ、建築は直接的に現代の状況にコミットできる唯一の実体的手段なのだ、と思っている。

北山恒

scene 1 scene 2
 撮影:ナカサ・アンド・パートナーズ
講演会 : 北山恒講演会 「On the Situation」
      4月20日 建築会館ホール
空間術講座14:「建築の終わり」1950年生まれの3人による建築談義
        3月1日〜3月29日 全3回


閉じる

Copyright (C) 2003 TOTO LTD.