フェリックス・キャンデラ


−重力の交差点


'96年3月15日〜'96年4月27日

 フェリックス・キャンデラは、コンピュータのない時代に、ウルトラE的に計算が難しいとされていた放物線と双曲線を組み合わせた立体曲線「HPシェル」をいとも簡単に実現して、世界中をあっと言わせた天才的な構造家である。 代表作のひとつ「バカルディ壜詰め工場」で彼は、貝や果実のように柱も梁もない曲面をつかって60×90メートルもの巨大な建物をつくりあげた。 彼の建物は極薄の鉄筋コンクリートでつくられ、軽量で無駄な肉がまったくない。巨大なコンクリートの建物が、まるで鳥が地面に着地したように軽快に見える。その内部では、ドラマチックな光が不思議な曲面の空間を満たしている。
 心底私たちが感服するものには、合理の美というものが必ず宿っている。機能や構造がぎりぎりのところまで研ぎ澄まされ,一心同体となっているからである。キャンデラの建築が訪れる者に新鮮な驚きを与え,子供のような冒険心をかき立てるわけは,ほかでもなくそこにある。
 建築家の斎藤裕氏をコーディネーターに迎えた今回の展覧会では、キャンデラの代表作品6点を、模型、CG、写真を使ってビジュアルに再現した。また、中庭ではHPシェルを用いたインスタレーション、第2会場では現地取材によるビデオ上映など、多角的にキャンデラの世界に迫った。
exhibition scene

exhibition scene
 撮影 ナカサ・アンド・パートナーズ


講演会+シンポジウム: 3月16日 東京・草月ホール
第1部 フェリックス・キャンデラの世界(ビデオ上映)
第2部 世界の空間構造史とキャンデラ 斎藤 裕
第3部 そして、軽やかな空間へ―キャンデラのエッセンスを再解釈する
        岡部憲明斎藤公男佐々木睦朗播  繁斎藤 裕


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