ギャラリー・間10周年記念 出展作家の原点作品展
篠原一男

久我山の家

1954年
作品写真
(藤塚光政撮影)

奈良京都の建築古典に惹かれ数学から転向、1950年東工大に入学。モダニズムが全盛のなかで日本伝統を見事に表現した住宅に驚き、52年その清家清先生のもとで卒業研究。コンクリート・プレハブの先駆、後藤一雄教授の知人の住宅を清家研で競技設計、私の使いやすい案が当選。卒研を疎かに設計に夢中、2階建になり、鉄筋筋交いのピン接点柱梁構造、プレコン1階の筋交い部分を覆うコンクリート・パネルを排除、実現案に近いピロッティ構成を創作。その後、構法が鉄骨造に、平面も非合理性の使いやすさに変わり、54年秋完成。ピロッティは紛れもないモダニズムの代表手法。私の内部で伝統とモダニズムの葛藤が始まった。モダニズムを技術で置換、それを現代の条件として使用しつつ、日本の空間の意味解析とその表現に集中した。70年、機械が再び、しかし、私の文脈上に現れ、80年代モダン・ネクストに至る。


前展覧会:Unbuilt and Yet Unbuilt (1994)
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