ギャラリー・間10周年記念 出展作家の原点作品展
伊東豊雄

せんだいメディアテーク

1999年予定
作品写真
(藤塚光政撮影)

このプロジェクトは現在基本設計の最中にある。そのように設計過程の建築がなぜ私にとっての原点か。
第1に、私がこれまでに手がけてきたプロジェクトのなかで、これはもっとも「原始的」な建築空間を呈示できると考えられるからである。何故なら50m四方の全く均一なスラブが積層されるが、それらは12本のフレキシブルに変化するチューブによって支えられ、自然光や自然の空気を導くチューブによって「場」の支配を受ける。そしてホモジニアスな空間には流動性が生じ、渦のような力の場を形成するのである。
第2に、「メディアテーク」というこの建築のプログラムが従来の公共施設にはまだない発見的なものであるからである。図書館、美術館など固定化し、保守化してしまったアーキタイプを新しいメディアの導入によって、無効にする可能性を秘めているのである。「現在」に座標軸を据えてどの方向へベクトルが向かうのか、未知であるもの以外に原点はないはずである。


前展覧会:風の街の建築たち (1986)
戻る
Copyright (C) 1997 TOTO LTD.