ギャラリー・間10周年記念 出展作家の原点作品展
長谷川逸子

緑ヶ丘の住宅

1975年
作品写真
設計の過程でのキーワードをまとめてみると、すべての作品に〈ガランドウ〉と〈原っぱ〉がある。〈ガランドウ〉は、主としてこの「緑ヶ丘の住宅」を含む初期の住宅群の設計過程で探求された生活というものを固定した様式、あるいは建築家によって図式化された理念としてではなく思いがけないほどフレキシビリティに満ちて生成するフリースペース、つまり〈長い持続〉としてとらえたときの建築のあり方の積極的な提案である。公共建築の設計においては、これが〈原っぱ〉と言い換えられてきた。〈第2の自然〉は原っぱの建築化であり、結果として建築のランドスケープ化への傾向を示してきた。建築のソフトプログラムとハードの設計を並行して進めたいとする思考も、住宅建築の濃密なコミュニケーションを経てたどりついた〈ガランドウ〉と〈原っぱ〉での活動を始動させるための契機で、建築の社会化を問題にすることになった。今公共建築をつくる原点はこうした初期住宅設計にあると考えている。
(藤塚光政撮影)

前展覧会:第二の自然としての建築「空中庭園」 (1989)
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