TOTO

展覧会について
展覧会概要
五十嵐淳氏のつくる作品は、北海道ならではの風土や気候条件、風景との共生を前提としながらも、建築の普遍的な価値を私たちに問いかけています。それは、五十嵐氏が建築単体の存在を超えて建築のはじまりの姿にまで思いを馳せながら、常に「人間の原初的な居場所」という「状態」を模索し続けているからにほかなりません。

北海道の厳寒の冬から身を守るシェルターとしての住居には、強風、豪雪、凍土といった厳しい自然環境への手立てが要求されます。これらの与件を技術的・法的にクリアするために必要な風除室や凍結深度、雪荷重計算といった手続きを、逆に豊かな住空間を生み出す要素として用いることで、五十嵐氏は外部環境には閉じて安全性を確保しつつ、内部に驚くほど多様で心地のよい空間を実現しています。同時に、空気の流れや光溜まり、視線の導きをつくることにより、実際のスケール感を超えて私たちの五感に語りかける、独自の空間体験を構築しています。たとえば、処女作「矩形の森」(北海道常呂郡、2000年)のグリッド状に配された柱による緩やかなゾーニング、「風の輪」(北海道北見市、2003年)、「トラス下の矩形」(北海道常呂郡、2004年)の凍結深度に従って掘り込まれた部屋がつくる立体的な空間配置、「光の矩形」(北海道札幌市、2007年)、「間の門」(北海道常呂郡、2008年)の光の層が生む独特の距離感など、空間同士が緩やかな関係性を結ぶことで、自由で多様な「居場所」が生まれています。

独立後15年目を迎えて初の個展となる「五十嵐淳展 状態の構築」では、「矩形の森」から最新作「Small Atelier」(北海道札幌市、2010年)までの代表作18作品を、スケール1/10の木組み模型により紹介します。視線の高さに並べられた模型を覗き込む時、それぞれの「状態」がどのように「構築」されているのか、あたかもそれぞれの場にいるかのような体験として読み取っていただけることでしょう。中庭には、ビニールパイプの円弧による抽象的な演劇空間「大阪現代演劇祭仮設劇場」(大阪府大阪市、2005年)を再現します。五十嵐淳氏の、出発点から現在までの作品の軌跡と、思考の深化の道筋を読み解くことができる展覧会です。
TOTOギャラリー・間
会場写真
[1] 第1会場エントランス
© Nacása & Partners Inc.
[2] 矩形の森/Rectangular Forest(北海道常呂郡、2000年)
© Nacása & Partners Inc.
[3] 風の輪/Wind Circle(北海道北見市、2003年)
© Nacása & Partners Inc.
[4] トラス下の矩形/Rectangle Under Truss( 北海道常呂郡、2004年)
© Nacása & Partners Inc.
[5] 原野の回廊/Corridor in the Wilderness( 北海道野付郡、2006年)
© Nacása & Partners Inc.
[6] Annex(北海道常呂郡、 2005年)
© Nacása & Partners Inc.
[7] Tea House(北海道常呂郡、2006年)
© Nacása & Partners Inc.
[8] 豊田市逢妻交流館/Toyota City Aizuma Lifelong Learning Center(愛知県豊田市、2006年、Project)
© Nacása & Partners Inc.
[9] Ordos 100(中華人民共和国内モンゴル自治区オルドス市、2008年、Project)
© Nacása & Partners Inc.
[10] 大阪現代演劇祭仮設劇場/Temporary Playhouse for Osaka Contemporary Theatre Festival(大阪府大阪市、 2005年)
© Nacása & Partners Inc.
[11] 光の矩形/Rectangle of Light(北海道札幌市、2007年)
© Nacása & Partners Inc.
[12] 相間の谷/House of Trough(北海道河東郡、2008年)
© Nacása & Partners Inc.
[13] House M(北海道旭川市、2009年)
© Nacása & Partners Inc.
[14] House O(北海道北見市、2009年)
© Nacása & Partners Inc.
[15] Small Atelier(北海道札幌市、 2010年)
© Nacása & Partners Inc.
[16] ファーム富田 回廊/Farm Tomita Corridor(北海道空知郡、 2010年)
© Nacása & Partners Inc.
[17] ファーム富田 Signal Barn/Farm Tomita Signal Barn(北海道空知郡、2009年)
© Nacása & Partners Inc.
[18] 書庫/R Archives(北海道帯広市、 2010年、Project)
© Nacása & Partners Inc.
代表作品
[1] 矩形の森(北海道常呂郡、2000年)
© 新建築社
[2] 風の輪(北海道北見市、2003年)
© 阿野太一
[3] Tea House(北海道常呂郡、2006年)
© 本城直季
[4] 光の矩形(北海道札幌市、2007年)
© 宮本誠也
展覧会情報
展覧会名(日)
五十嵐淳展 状態の構築
展覧会名(英)
Jun Igarashi: The Construction of a State
会期
2011年5月13日(金)〜7月9日(土)
開館時間
11:00–18:00(金曜日は19:00まで)
休館日
日曜・月曜・祝日
入場料
無料
後援
社団法人 東京建築士会
社団法人 東京都建築士事務所協会
社団法人 日本建築家協会関東甲信越支部
社団法人 日本建築学会関東支部
特別後援
物林株式会社
株式会社丸印長谷川
北海道北三株式会社
NPO法人大阪現代舞台芸術協会
長谷川大輔構造計画事務所
大光電機株式会社
シンコール株式会社
関連プログラム
2011年6月9日(木)
ニュースリリース
ニュースリリース(PDF)
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著者=五十嵐淳