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承孝相と張永和展 融合する東アジア建築世界から:BEYOND THE BORDER
Seung, H-sang & Yung Ho Chang East Asian Architecture: BEYOND THE BORDER
2004 02.28 - 05.01
MAKING OF GALLERY・MA  土壁ができるまで
5月1日まで開催しているソウルと北京の建築家の展覧会「承孝相と張永和展」。本展では、今、最も活発に建築が建ち上がっている場として世界中から注目を集めている東アジアで活躍する二人の建築家を、それぞれの最新作を含む10作品の展示を通じて紹介しています。会場はSTEEL(鉄)の「壁」が巡る第一会場を承氏が、EARTH(土)の「壁」が鎮座する第二会場を張氏がデザインし、中庭で二人の「壁」が対峙するという構成になっています。鉄の壁はソウルでつくりましたが、土の壁は「版築」という工法で2月に4日間かけて21名の有志の方々に制作していただきました。この特別レポート「土壁ができるまで」では、普段はなかなかお見せする機会のない展覧会の裏側、彼等の奮闘ぶりをお伝えします。ぜひ覗いてみてください。

「版築」って何だろう?

「版築」とは、中国や日本にも古くから伝わる建築物の基壇や堅固な土壁をつくる工法のひとつです。日本では土塀や大寺の基壇などに用いられていますが数は多くありません。海外では古くから構造体として建築に使われ、耐用年数が長いのが特徴です。土壁は一般に、土と石灰と藁と水を混ぜたものを木板などを用いた型枠に盛り、それをほぼ半分のかさになるまでたたき締め、固めて、一定の高さになるまで積み上げてつくります。
いよいよ制作スタート
1 養生   2 型枠
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1. 現場は、まず養生から。この後、壁にも養生シートをかけます。
2.   中庭の版築の型枠。つくろうとしている土壁は、高さ80cm、長さ5m。まず半分の高さまで土壁をつくってから、上段のパネルを取り付けて目指す高さまでつくります。

土って重いんだ!
高さ80cmの土壁をつくるには、倍の160cmの高さまで土を盛ることになります。それだけの土の塊になると、なんと重さは3t以上! 床の耐荷重を考えると、重さを軽減しなくてはなりません。そこで張永和氏から出てきたのは、土壁に竹を挿入して空洞をつくることでボリュームは変えずにウエイトを軽くし、なおかつインスタレーションとしての面白味を加えるというナイスアイデア。この竹の穴は、第二会場でポスター入れとして活用されています。
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3. 下準備。土壁に挿入する竹に接着剤を塗っています。こうして、土が竹の表面を滑って偏るのを防ぎます。
4.   土を盛る高さ、竹を並べる位置の墨だしです。土壁は5層に分けて突き固めます。1層は15〜20cmなので、土は30〜40cm盛ることになります。できあがり目標ラインを記しておかないと、何センチ壁ができているのかわからなくなってしまうのです。
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5.   上段の型枠パネルにも墨だし。
6.   次に、材料の計量。おいしい料理では材料の配合が肝心なように、きれいな土壁づくりの重要なポイント。
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7.   藁スサ、水、石灰。
8.   このミキサーで土と07)の材料をぐるぐるとミキシング。これが混ざったら土突き、と思っていたら、そう簡単にはいかず…。
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9-12.   材料がダマになって充分に混ざらないので、ハンドミキサーで粉砕、さらに手でほぐしてやっとやっとタネ土のできあがり。強風の中、砂をかぶりながら皆でひたすらタネ土つくり…髪はぼさぼさ、眼は開けていられず、何といってもコレが一番大変だったのでした。
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13・14.   できあがったタネ土を型枠に。1層目、想像以上にたっぷり入るのでびっくり。タネ土、足りるかしら…?
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15・16.   ようやく土突き。特別につくった角材と鉄板の突き道具で墨だししたラインが見えるまで突き固めます。
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17.   できたての1層目の上に竹を並べたところ。さあ、あと4層分。まだまだこれから!ですが、3層目までつくったところでタイムリミット。翌日へ。
18・19.   土こね2日目。すっかりベテランになって段取りもバッチリ。
20.   上段の型枠も整えて。
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21.   4層目まできました。
22.   いよいよ5層目。天面をきれいにきれいにならします。
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23・24.   一番上になると型枠に乗って土突き。気合を込めて、でも丁寧に。
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25・26.   型枠を外してやっとお目見え。うわーっ、きれーっと感激のとき。でももうひとつ待ってます。まだまだ土こねが続く…。
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27.   最終日。第二会場での土こね風景。埃っぽくて単調な作業に皆、無言…。
28.   徐々に、徐々にタネ土が揃っていきます。
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29.   土突き。ここまでくれば、あと少し。がんばりどころ。
30.   型枠を外し、二つ目の土壁も完成。ああよかった。協力してくれた皆様――制作協力スタッフ21名、そしてトータルマネージャーの鈴木さん、左官屋さん、延べ制作時間38時間(見込みの倍かかってしまいました)、ほんとうにお疲れさまでした!
   
本物を見よう
展覧会では、第二会場の土壁の上には模型が展示され、竹の穴に各作品の図面やコンセプトがレイアウトされたポスターが差し込まれています。型枠はコンセプトパネルと模型台として再利用。
でも何と言っても圧倒的な存在感は、この本物の土壁たち。舞台裏をふまえたところで、改めてご堪能ください。
SPECIAL THANKS/版築制作協力
石川徳摩/宇都宮俊/宇野 翠/甲斐淳一/金子尚代/神谷光輝/
河津 琢/北野隆啓/黒澤清高/笹本直裕/柘植清智/林 憲吾/
廣谷純子/前田翔子/松繁宏樹/松葉邦彦/武藤圭太郎/村松 花/
薮崎 涼/山下貴成/渡辺 学
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