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ニュースリリース

TOTO 燃料電池で世界最高水準の性能を実現
NEDO委託を受け、2007年の実用化に取り組む
2004年9月17日


TOTOではこのたび、固体酸化物型燃料電池(以下SOFC)セルスタック(※1)で世界最高水準の発電効率55%を達成し、耐久3000時間に成功しました。排熱を利用するコジェネレーションシステム(※2)とすることで総合効率80%以上を実現できます。このほどNEDO(※3)の研究委託を受け、発電システムとして2007年の実用化を目指します。

SOFCは、高発電効率と耐久性の両立が課題でした。TOTOでは、独自のセラミック製電極を開発し、セル(1)の内部抵抗を大幅に低減させました。また、セルスタックデザインを改良して、モジュール(※1)内部の燃料ガス流れと温度分布を均一化させました。 その結果、出力1.5kW級、都市ガスを燃料として世界最高水準の発電効率55%を達成しました。また、約900℃の熱自立状態(※4)において3000時間の連続運転に成功しました。高い発電効率と耐久性を同時に達成した例は、世界で初めてです。また、セルは衛生陶器の製造技術をコアテクノロジーとするTOTO独自のスラリーコート法(※5)で作製しており、製造コスト低減が見込めます。

SOFCは、非常に環境にやさしい技術です。発電効率が高いうえ、さらに排熱を利用できるため、コジェネレーションシステムとして80%以上の高い総合効率の実現でき、38%のCO2削減が可能です。また、コンビニエンスストアなどの小規模店舗で10kW SOFCを使用すれば、年間約40万円の電気代削減が可能です。TOTOは今年度からNEDOの研究委託を受け、耐久性40000時間(約5年)を目標に2007年の実用化を目指し研究開発を進めます。

※1 発電のための円筒型単体部材をセル、セルを十数本単位にまとめたものがスタック
さらに、スタックを集合化したものがモジュール
※2 発電後の排熱を熱エネルギーとして冷暖房や給湯などに利用するシステム
※3 新エネルギー・産業技術総合開発機構
※4 発電による発熱で、外部から加熱せずに適温で運転している状態
※5 原料を分散させた溶剤に基材を浸して表面に均一に付着させ、焼成して薄膜を形成する

【背景】

1背景
わが国の電力需要は、生活環境の向上にともないますます増大していくことが予想されます。さらに最近の原油高騰で、石油に頼りすぎている現状のエネルギー政策が危惧されています。その一方で、エネルギー資源の有効利用方法の開発やCO2の削減など、環境問題への対応が急務となっています。
このような中、TOTOでは長年培ったセラミックスの技術により、天然ガスなどが利用でき、発電効率が高く大幅なCO2削減が期待できるSOFCの開発を進めています。

2SOFCとは
燃料電池は、水の電気分解の逆反応で、水素と酸素の化学反応から直接発電することができる高効率でクリーンな発電方法として、いくつかの方式について開発が進められています。なかでもSOFCは高効率、高耐久性であり、さらに900℃程度で運転された排熱を、コジェネレーションで利用することで総合効率が非常に高くなるため、実用化が期待されています。

3他の発電方法との比較
SOFCは、自動車などへ応用が検討されているPEFCなど他の方式の燃料電池より10%以上発電効率が高いうえ、幅広い出力に対応可能です(図1)。
使用する燃料は、PEFCでは高純度の水素が必要ですが、SOFCでは天然ガスや灯油が簡単な水蒸気改質により使用できます。

図1.他の発電方法との比較 図1.他の発電方法との比較

【TOTOでの開発経緯】

1989年 SOFCの研究開発に着手
1998年 NEDOからの研究受託により「固体電解質型燃料電池の研究開発」に着手
2000年 3kW級モジュールの発電試験に成功
2001年 NEDOからの研究受託により「熱自立モジュールの開発」に着手
2004年 モジュール発電効率55%、連続3000hr運転成功。

【システム構成、実用化イメージ】

円筒型セルを燃料電池システムとして使用する際には、多数のセルを束ねて集合体であるスタックを作り発電を行います(図2)。
発電システムとしては図3のような構成となります。上記スタックを複数用いる発電部(モジュール)と、発電部に燃料や酸化剤ガスを供給する燃料供給部、発生した電気エネルギーを適した電力として供給する電力供給部、発電部からの排熱を有効利用する排熱回収部、ならびにシステム全体を制御する制御部から構成されます。
2〜3kWコジェネレーションシステムにおいては、スタックを複数複合し、セルとして100本程度用います。

図2.セルスタック 図2.セルスタック
(左:2×7本 右:3×5本)

図3.発電システムの構成 図3.発電システムの構成

システムの中でも、セルスタックが最も重要で、セルスタックの性能がシステム全体の効率や寿命などの性能を決定します。TOTOは、セルスタックの開発を進めており、システム全体としては他社との協業で開発を進めています。

【TOTOオンリーワン技術】

(1)SOFCの構造、材質
SOFCのセルは円筒型と平板型に大別されますが、TOTOではガスシールが容易で熱応力を緩和しやすい円筒型を採用しています。セルは電解質と電極の4つの層から構成されています。(図4、表1)
押し出し成形で作製した空気極の外側に、スラリーコート法でインターコネクター、電解質、燃料極を製膜します。

図4.左:TOTOのSOFC断面構造 右:ガスの流れ

図4.左:TOTOのSOFC断面構造 右:ガスの流れ

表1.セルの構成材料と製法

セル構成 材料 製法
空気極支持体 ランタンマンガナイト 押し出し成形法
インターコネクタ ランタンクロマイト スラリーコート法
電解質 安定化ジルコニア スラリーコート法
燃料極 ニッケル+電解質サーメット スラリーコート法

(2)ガスフローの均一化
モジュール内の燃料ガスフローの均一化により燃料ガスの有効利用をはかると共に、温度分布の均一化を進め、高効率発電を実証しました。

図5.モジュール内の燃料ガスフローイメージ

図5.モジュール内の燃料ガスフローイメージ

(3)スラリーコート法
基材(空気極)にセラミック製電極の薄膜を形成する方法です(図6)。セラミック粉末とバインダーを溶媒に混合したスラリーに、基材をディッピングしてセラミック粉末を付着させます。これを乾燥・焼成することで薄膜を形成します。衛生陶器の製造方法と共通点があります。

図6.スラリーコート法による製膜行程

図6.スラリーコート法による製膜行程


【補足】

発電効率の計算方法
供給都市ガスの熱量(kW換算:発生する水蒸気をガスとして扱う「低品位発熱量」で算出)に対する、発電部からの発電出力(DC-kW)の比率として計算。

耐久3000時間の位置付け
セルスタックにおいて、材料や発電性能の安定性を見通すために必要な最短の運転時間。

導入効果の算出方法
小規模店舗に10kW級SOFCシステムを導入した場合を想定し、ガス会社とコジェネレーション特別料金契約、電力会社と従量電灯契約し、SOFCシステムの発電効率を45%LHVでベース10kWを連続発電するとした。導入前の契約形態を電灯分は深夜電力、動力分は低圧契約とした。導入前の電力料金135万円/年に対して、導入後は95万円/年となり、約40万円の削減効果がある。
SOFCコジェネレーションシステムで発生させる電力と熱をLNG火力による商用電力とボイラで発生させた電力と熱とを比較すると、SOFCシステムに必要な燃料100に対して、LNG火力とボイラに必要な燃料の合計が161となる。SOFCコジェネレーションシステムから排出されるCO2はLNG火力とボイラと比較して37.8%削減される(図7)。

図7.熱電供給の場合における比較例

図7.熱電供給の場合における比較例



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